2022年3月29日火曜日

〜世界チャンピオンJack Carthyにあってきた話後編〜2022年3月23日ー25日

〜世界チャンピオンJack Carthyにあってきた話後編〜2022年3月23日ー25日

こんにちはぽんたです。

前回に引き続き、夫がやっているスポーツ、自転車トライアルの伝説的な世界チャンピオン、Jack Carthyと一緒に2日間だけトレーニングさせてもらいに行ってきた時の記録です。前編はこちらからどうぞ。今回の記事は後編です。



Jack Carthyの練習風景





それではどうぞ!


宇宙は幾つかのエンジェルを送った。


両親はもとより、地元のジム経営者、(彼はJackにプロのトップアスリートに見えるように自分のジムで彼の体作りを無償で行い、そしてスポーティブな格好良いトレーニングウェアを買ってくれるなど、スポーツ選手としてプロデュースしてくれた)


悪天候の時の練習場所を無償で提供してくれた地元のおじさんたち、


自分の競技を利用した仕事の取り方などを教えてくれたこれまた9回世界チャンプに輝いたケニー・ベライ(Jack曰く、お金を自転車だけで十分に稼いで生活している、という意味でのプロの自転車トライアルライダーはJackとケニーの二人だそう。私は一度で良いからケニーにも会ってみたい。惜しくも去年のW杯で引退してしまった。)


Jackは彼らへの感謝を忘れず、彼らのことを熱く話した。


きっと他にもいるのだろうが、今回Jackから語られたエピソードでは以上だった。




Jackに関しては様々な意見を知人から夫を通じて聞いていた。


驕っているだとか、教育を受けていないだとか、フレンドリーじゃない、だとか、、、あまり良い噂がなかった。


しかし、実際にあってみると、フレンドリーで自分の生活圏に入らせてくれるし、出し惜しみせず自分の気づいたことやテクニックをシェアしてくれるし、噂とは全く違って驚いた。

Jack Carthyの愛犬ロッキー

夫と私が(特に夫が、、)、チャンピオンへ最大の敬意を示しているのが伝わっていたからかもしれないし、女性には優しいのかもしれないが、やはり、自分の目で見て耳で聞いて実際に体験してからではないと、本当のところはわからないのだ、ということをひしひしと感じた。


想像で人を評価するなんて以ての外だな、と自分を省みる機会ともなった。



ここで少し、彼を擁護するつもりではないのだが、幾つか私が感じた彼の特徴について記録するとともに、なぜ周りの人たちからいろいろ言われてしまうのかについて考察したい。


彼はまず、生粋のファイターである。これは、勝ちにこだわるトップアスリートにはとても大切な要素であると思う。


Jack Carthyの練習風景

だから、時としてエモーショナルに人々の目には写ってしまう。審判の判定云々の関係で1位を逃した一昨年にヘルメット投げた彼の行動はいささかSNSが炎上したように思う。


確かに、自転車トライアルの世界では珍しいのかもしれないが、フットボール選手や野球選手をご覧いただきたい。


頭突きした人もいるし、乱闘はトップアスリートにはつきものではなかろうか。


生きるか死ぬかの戦いから派生したスポーツ文化ではエモーションはつきもの。我々が想像する以上のアドレナリンのなかで試合しているのだからこれくらい当たり前。

Jack Carthyの練習風景


というか、これくらいでなくっちゃおもしろくない。これくらい本気でやってくれているから観戦する側もおもしろい。


それから、驕っていると捉えられてしまう言動について。


言葉だけ切り取ると、そう思われてしまいがちかもしれないが、彼の抑揚から、私は彼は彼なりに分析して事実をのべているだけであると感じた。


その事実がたまたまかなりの栄光であるから、自慢話しに聞こえてしまう場合があるのかもしれない。


しかし、彼はいたって話の流れで自分が分析して客観的な目でとらえた事実を述べているだけで、その証拠に、自分のことをJackと第三者のように語る場面に何回かでくわした。


でももし仮に、彼が実際に自分の成し遂げたことをアピールしていたとしても、まだ彼はチャンピオンといえども25歳の青年だし、9回もチャンピオンになっているのにまだ承認欲求がみたされていないということなら、それはそれで逆に謙虚ではなかろうか?


自分はこんなにすごいことを成し遂げたんだよ、頑張ったんだよ、とお話ししてくれているとしたら、逆に可愛らしいと感じてしまうのは私が女だからなろうか。


聞き手が男の子なら、彼にもプライドがあるだろうから、その嫉妬のような気持ちから歪んで捉えてしまうのかもしれない。


Jackは極めて素直で裏表がない。まっすぐだ。


疲れた時には疲れたように見えるし、余裕があるときはお茶を入れてくれたり、ご飯を一緒に食べようと誘ってくれるし、忖度せずに自分の意見を言う。


だから、アドレナリン全開で全集中勝負モードのコンペティション中に愛想を振りまくような余裕なんてないだろうし、そうするつもりもないのだろう。


(ふむふむ。これは、大変だ。彼を分析しているうちに、私の夫への理解が深まってしまった。これは近いうちにまたHowarthに行ってチャンピオンの奥さんにいろいろ質問したい。)


複雑にみえるようで、実はシンプルなのだろう。ただただ、その時の自分の状態に正直なだけなのだと思う。


言葉が率直すぎて裏を勘ぐりたくなることもあるかもしれないが、そのような場合、私たちの心理に問題があるといえよう(これは、夫と話してるときの私に対する慰めの言葉)


このような人こそ、本来は信用すべきなのだとも思う。




ファイター気質と書いたが、彼はなかなか懐が深く、情が深い。(それゆえのファイター気質なのかもしれないが。)


彼には4歳の息子さんもいて、お国柄なのかもしれないが、自分のやっているスポーツを息子に押し付けたりはしない。彼がやりたがったらサポートするかな、くらいだ。


そして自分の息子の好きな物、得意なものに関して、ちゃんと理解している。


奥さんが前の職場で不快な思いをしていたときも、それはダメだ、と辞めさせて、実家の一部を彼女のサロンに改装したのも、なかなかアツイ。


彼女の好きなことを尊重している感じも受けた。


そして、少し離れた駅から自転車トライアルでhowarthまで爆走してきた夫(バスに自転車のせてくれなかったため)の話を聞いて、最終日に駅まで送ってくれた、めちゃめちゃ情にアツイ親切な人だった。




彼は、自ら企業とやりとりをし、コラボする仕事を自分で獲得している。今は、向こうからメールが来るようになったが、初めの頃は自らメールを送っていたそうだ。


これはケニーから教わったらしい。今ではトレーニングとそれらの仕事で日々忙しいようだ。


それでも、まだまだチャンピオン歴を更新し続けるモチベーション満々の彼は仕事がトレーニングに食い込みすぎることのないようにちゃんとバランスをとっている。


本当に自分がやりたいことがはっきりしていて、それは譲らない。


いろいろ彼の考え方、生き方にはインスピレーションを受けたし、鼓舞された。

Jack Carthy


私自身のトレーニングに対してもモチベーションが上がったし、トレーニングの意識も変わり、ぐんっとレベルが上がったエレメントが2つもあった。


別の競技の人間にもこんなに影響を与えるのだから、本当にすごい人だ。




世界チャンピオンになったことがある人ではなく、世界チャンピオンになり続ける人。これはかなり難しい。


自転車トライアルの奥の奥まで知っている人。これも恐らく多くはないだろう。



最後に、写真を撮ってもらった。肩を組んでくれた彼のエネルギーは意外にもふんわり軽く、優しかった。



お読みいただきありがとうございました。次回は主に我々の旅路をメインにhowarthなどの村の様子も記録していこうと思っています。



2022年3月28日月曜日

〜世界チャンピオンJack Carthyにあってきた話前編〜2022年3月23日ー25日

〜世界チャンピオンJack Carthyにあってきた話前編〜2022年3月23日ー25日

こんにちはぽんたです。

先日、夫がホリデーをとったので、夫がやっているスポーツ、自転車トライアルの伝説的な世界チャンピオン、Jack Carthyと一緒に2日間だけトレーニングさせてもらいに行ってきました。そのときの記録を少し長いので2回に分けて載せたいと思います。後編はこちら


Jack Carthyの練習風景



それでは前編です。どうぞ!


もし、自分の息子が小学校へ行っては友達とケンカし、しばらく学校へは来ないでください、としばしば言われるような子だったら、私は一体どうするだろう。


学校へ行っても勉強する気など全くなく、ろくに本も読めない子だったら、親として私はどうするだろうか。 


 しかりつけるのだろうか、怒鳴りつけるのだろうか、無理やり矯正させようとするのだろうか、精神科へ連れて行くのだろうか、カウンセリングに連れて行くのだろうか、ホメオパスに相談するのだろうか、、、。


何れの行動選択も子供の今ある状態を異常ととらえ、改善しようと試みているのに相違はない。

実際に、予防接種、薬害、添加物、の影響で医学的になんとか障害とか言われる症状が出ている場合があり、重金属デトックスなどでそれが改善した、という症例報告もあるらしい。

しかし、単にその子が持って生まれた素質かもしれない。その子の才能かもしれない。最終的にその子がそのような状態になるように宇宙が仕向けたのかもしれない。



今ある子供の特性を丸ごと受け入れてその子にあった道をとことん探し、そして見つけ出せる親は一体どれくらいいるのだろうか、そして実際に私が親だったらそうできるのだろうか。。。




なぜ、そんなことを考えたのかというと、先日、夫にくっついて自転車トライアルの世界チャンピオンJack Carthyに会ってきたからだ。


彼はまだ、25歳にして現在9回世界一(ジュニア時代も含めて)になっており、そしてまだまだ彼は高みを目指してモチベーション高く毎日トレーニングに励んでいる。


彼は15歳のときのジュニア戦で、自転車のハンドル部分のバーが独特なポジションでチャンピオンの座をかっさらっていったのを鮮明に覚えている人も多いだろう。


そのときまだ彼は競技を始めて2年か3年かの頃だったから、この時すでにいろいろ考えながら練習していたことが見て取れる。


そして当時、多くのライダーが彼のようにバーのポジションを真似したようだが、キッカー(より高くジャンプできるようにしたもの)の部分でJackはそのバーのポジションで飛べるが、他のライダーはできないといった状況が多発したというのも夫から聞いて、面白いエピソードだと思った。


 我々は、2日間、Jackとトレーニングする機会を得た。もちろん無料ではない。


しかし、チャンピオンの車に乗って、映像でしか見たことのないあの岩たちのところまで行けて、チャンピオンのライドを間近で見れて、チャンピオンに稽古もつけてもらえて、チャンピオンと会話できて、


チャンピオンに紅茶を淹れてもらったり、チャンピオンのご家族と夕食を共にしたり、挙げ句の果てにチャンピオンに駅まで送ってもらってしまったのだから、全く損はしていない、むしろ、少し申し訳なく感じるくらいだった。


他のライダーは1週間とか、1ヶ月とかの共同トレーニングをお願いしているようだ。しかし、我々はホリデーでしかも夫はコンペティションを目指しているライダーではないため、2日くらいが私も夫も楽しめるちょうど良い時間であったと感じている。


そして彼らの生活圏Howarthという村が、小説で有名で観光客もよく来るところなのだが、とっても素敵なところで本当に小説の中に入った気分になる場所なのだからまた行こうと思っている。



Howarthにて。


さて、話を元に戻すと、前述した、学校でケンカして来ないでくださいと言われるような子供、本が読めない、読もうとしない子供、の様子は、Jack自身の幼少期だ。


この話は彼自身から、そして、彼のお父さんから直接聞けた。Jackのお父さんは、彼ができるようになるように、と一緒に音読をし始めるのだが、ちゃんと読めるようになったと思ってふと見たら、Jackはただ暗唱していたらしい。


お父さんが読んでいるのを何回も聞いているうちに覚えてしまったようだ。
彼の両親は、息子が学校以外の何か打ち込めるもの、違う道を探そうと考えた。


そして、お父さんは息子とみっちりいて彼の面倒を見たい、と言い、お母さんは、それなら、私は外で働く、と決めたそうだ。


今まで働いてこなかった女性が外ではたらくことを決定するのは、個人的にはかなり心を打たれたが、もしかしたら彼女はもともとそっちの方があっていたのかもしれない。


そして、しばらくご両親はJackに合うものをあれこれと探したらしい。そしてある日、市場かどこかで見つけた自転車を見てJackが自転車が欲しい、と言った。


買ってみると、Jackはすぐに乗れてしまい、乗れるどころか飛んだり跳ねたりしたので、あ、この子は自転車が得意なんだな、となり、自転車トライアルというスポーツに行き着いていったらしい。


この話は、shindig podcastや他の媒体のインタビューにもあるかもしれないから、ご存知の方も多いだろうが、私も私の耳でJackから、そして彼のお父さんから聞けた話なので、ここに記録しておく。




こうやってみると、親の影響でそのスポーツを始めた子とは違い、全く自転車トライアルとは無縁であったところから、自分の特性にあったものに巡り会わせられ、なおかつそれに気付く大人が存在し、そしてそれができるようにバックアップしてくれる大人がいる環境であったということが見て取れる。


恵まれた環境にあった、という人がいるかもしれないが、私は、彼は自転車トライアルのチャンピオンになるために、なれる環境のところを選んで生まれてきたのだろうと思う。


だから、彼はチャンピオンになることを早々に決意するし、周りはそれを支える動きをするのである。もうこれは宇宙レベルで設定されていたことなのだろう。





私は、トレーニング場所へ向かう車の中や、トレーニングの合間に息をついている間に彼にいろいろ質問をした。


かねてより、彼のライドを映像資料で見ていて、この人は一番効率の良い身体の動きを見出したに違いない!と思っていたが、案の定、いや予想をはるかに超えた身体の使い方のスペシャリストだった。


自分の身体どころか、自転車の特性、特徴、タイヤの特徴、石の状態、木の状態、地面の状態、靴の状態についてかなりの観察、分析をしており、工夫次第で改善できるところは改善し、自分の力ではどうにもできなことには、どれだけ適応できるかを焦点としていたところには本当に驚いた。


 そして、意思が強い。自転車トライアルを始めた時、彼にとってのヒーローはその当時のチャンピオン、ジルだった。


そして彼は決めた、自分はジル以上のライダーになるんだ、と。多くの人は、何かに憧れた時、その人に近づきたい、とは思うかもしれないが、その人を越えようとはあまり思わないだろう。


自分には無理だ、と考えたりするのがほとんどだ。しかし、Jackはジルに打ち勝つ、と早々に決めてしまったのだ。意思決定を下したものに対して、宇宙は全力で手助けをする。


Jackもその決定のもとに、毎日練習する。しかも、ただやみくもに練習するだけではない、どうしたらもっと、を常に考え、分析し、研究し、試行錯誤しながらトレーニングする。最強ライダーはこうして形成されていったようだ。



お読みいただきありがとうございました。次回は、後編をお送りします。

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